不動産インデックスとは

1. 不動産投資インデックスとは

不動産投資インデックスとは、不動産投資のパフォーマンス(運用実績)の指数であり、ある特定の投資期間で、どの程度の投資リターンが得られたかを示すものです。不動産投資インデックスは、不動産投資への投資の際の意思決定の参考として利用され、また、投資成果を測定・評価するための指標としても利用されています。具体的には、賃料収入等から得られるインカム収益率と不動産価値の変動から得られるキャピタル収益率及びそれらを合計した総合収益率からなります。

2. 不動産投資インデックスの用途

インデックスは、一般に、投資家のために3つの用途を提供します。1つめは、投資対象となる不動産投資市場のリターンの動向を定量的に把握するための指標となります。2つめは、不動産投資のリスク・リターン特性を定量的に評価することによって、資産配分や投資戦略の策定に効果的に用いることが可能となります。3つ目はいわゆる「ベンチマーク・インデックス」としての利用であり、投資成果の測定やファンドマネジャーの実績評価の指標として用います。投資家による不動産投資インデックスの活用が一般化している欧米では、インデックスを参考に、投資用不動産の選定や投資の評価を行っています。

3. 取引価格インデックスとの違い

不動産投資インデックスは、ある特定の投資期間中に獲得したインカム収益(NOI)と市場価格の変動に伴うキャピタル収益(Capital Appreciation)を指数化したパフォーマンス指数といわれています。投資期間中にどのくらい不動産投資のリターンがあったかを示しています。

一方、不動産市場に関連したインデックスには、取引価格の変動を示す価格指数や新規成約賃料の変動を示す賃料単価指数などがありますが、これらは市場価格の変動を示すファンダメンタル指数といわれているものであり、投資インデックスとは異なるものです。

4. 証券のインデックスとの違い

株式・債券などの証券投資の場合には、流動性の観点から投資対象となり得る証券群(ユニバース、と呼ばれる)が定められ、それらの収益率平均を指数化したものがインデックスとなります。投資家はインデックスを用いた期待収益率とリスクの組み合わせで資産配分を決定し、投資家のパフォーマンスはインデックスに対する相対評価で測定されます。

一方、実物不動産は、証券のように同じ性質のものが多数存在して売買されているわけではありませんし(不動産の個別性)、売買頻度も少ない(低流動性)ものです。したがって、証券投資のように、ユニバースから特定されたコンポジットと同様なポートフォリオを構築することは不可能です。